児玉幸子展覧会「眩惑について」によせて

児玉幸子展覧会「眩惑について」によせて

私は今現在、京都の寺町通りにある清課堂にて行われている

児玉幸子さんの展覧会にて案内スタッフをさせていただいています。

 

友人である現代アート作家のばばりかさんからのご縁でこのような貴重な経験に恵まれました。

 

いつもアートを「見る側」だった私ですが、今回は「案内する側」に立てたことで多くの知識や情報を得ることができました。

そのことを少しでもお裾分けしたいと思い、記事にしました。

 

あくまで私なりの視点でのご紹介となりますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

磁性流体を使ったアートの第一人者

今回展示会を行っている作家の児玉幸子さんは「磁性流体」という金属が溶け込んでいる物質をアートに使った第一人者。

 

磁性流体のアート作品「突き出す、流れる」では、第5回文化庁メディア芸術祭インタラクティブ部門大賞、日本のメディア芸術100選に選ばれています。

 

磁性流体とは…磁性流体とは、磁性体の微粒子を水溶性あるいは油性の溶液の中に拡散させ、液体の状態でも強磁性を保つようにした黒色の液体。砂鉄よりも自由に変形され、複雑で有機的な3次元形状があらわれます。

出典:磁性流体のアートプロジェクト「突き出す、流れる」

 

今回展示されている作品はその磁性流体を重量と磁力のバランスでコントロールし、それによって変化する様を見ることができます。

 

 

磁性流体の性質、またその性質に他から変化を加えることで見る人に様々な印象を与える作品たち。

 

それぞれの作品はその磁性流体の動きの速度、光を受けて反射する色彩、それぞれ受ける印象が異なっており、どの作品も見る人をぐっと引き寄せます。

 

 

一期一会の作品

天保九年、江戸後期に錫(すず)師として現在地に創業し、

神社仏閣の荘厳品、宮中の御用品などの製作を生業とする清課堂。

今回作品の展示が行われている場所は清課堂のギャラリーとなる蔵、和室、茶室。

 

紺の暖簾をくぐり、錫の工芸品が美しく並ぶ店内の奥にある小道の少し先にギャラリーがあります。

 

 

児玉さんの作品は海外で展示されることも多く、「和」の趣がある会場での展示は今回が初めてだそう。

 

まるで初めてとは思えないぐらい清課堂の

“京都の筋が通った和の雰囲気”に合わせて作られたかのように見える作品たち。

 

作家である児玉さんにお聞きしたところ、

作品にあたる光、映りこむ色彩は作品が置かれる場所ごとに変わるため、その「場」に合わせ作品のリズムも変えているそう。

 

本当に「一期一会」の作品なんだと改めて感動しました。

 

こころの襞にふれてくる作品たち

思わずずっと眺めていたくなる児玉さんの作品たち。

 

磁場に引き寄せられた磁性流体が浮かび上がル様子が花のおしべのようにも見える「惑星No.3」

 

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浮かび上がった黒い磁性流体が水玉になったり、引き込まれて細長くなったり。

変わる文様をひたすらみつめてしまう「#リボーム」

 

[追記]

2017.11.18

作品が#リボーム から惑星No.4に変更になりました。

 

なかでも蔵の中で美しく輝く二体のカプセル状の「モルフォタワー」は、色彩と色の変化を楽しむことができる作品。

 

黒い磁性流体が粒状にに集まってくると、タワー本体の黄金色が顔を出し、

タワーの色が徐々に変化する様子を楽しむことができます。

 

さらに作品の器の色は、ゴールドシルバーとダークレッドの二色があり、

光の反射によって色が変わって見えるため色々な角度から楽しむことができます。

 

 

 

 

そして和室に設置されたエキシビジョン。

 

ご覧いただいている人のほとんどが、

広がる水紋や磁性流体の動きや広がる水紋をタワーの周りに座り、じっと静かにみつめていらっしゃいます。

 

 

 

ただひたすらに磁性流体の動きを眼で追っているだけで心が安らかになり、ふわっと安堵の感情が湧いてくる。

 

ゆっくりと変化する色彩や形にそれぞれの想いを重ねあわせる。

荘厳なものを見た時の心が改まる感じ。

 

夕焼けやどこまでも広がる雄大な自然と対峙した時のこみ上げてくる感情。

 

児玉さんの作品はそういった人の心の襞にそっとふれてきます。

 

「眩惑について」

闇の中で呼吸するように柔らかく光る彫刻

自然に創発する形とリズム

 

ぜひ、11月京都にお越しの際は足をお運び下さい。

 

 

児玉幸子展覧会「眩惑について – Éblouissant」

展覧会期間

2017年 10月6日(金)~ 11月26日(日)

各日10時 ~ 18時